馬車道ペットクリニックでは、歯科担当獣医師による歯科診療を行っております。
重度歯周炎や破折などで他の病院で抜歯しかないと言われた歯も温存できるかもしれません。他の歯科疾患も治療しております。歯科検診や歯磨き教室も随時実施しておりますので、是非一度ご来院ください。
<歯科診察日>第1水曜日
※歯科診療のご予約はお電話にてお願い致します。
馬車道ペットクリニック・どうぶつ歯科
2歳までにわんちゃんでは80%、猫ちゃんでは70%が口腔内に何らかのトラブルを抱えていると言われています。治療がされないまま重度の歯周病になってしまうと、歯が抜けてしまったり、顎が折れてしまったり、顔が腫れたりと様々な症状が出てきます。
ただし、歯周病の初期では症状が乏しいため、ご家族が歯周病を発見するのはどうしても遅れがちになってしまいます。
なるべく早く歯の病気を発見・治療してわんちゃん猫ちゃんが高齢になっても歯が残せる病院でありたいと思っております。
そのためには病院での治療だけでなくご自宅での歯磨きも必要不可欠です。
当院スタッフと一緒に歯磨きマスターを目指しましょう!
歯磨き教室は個別で随時受付中です。
<歯でこんなことにお困りではないですか?>
・よだれが多くなった
・口の周りの汚れが目立つ
・口臭がする
・目やにが多くなった
・歯がグラグラしている
・くしゃみや鼻水
・口を床や家具にこすることが多くなった
・前足で口周りを気にすることが多い
・食欲ありそうなのに食べない
・歯が折れた
・歯磨きができない
<歯科治療>
歯周病
破折
乳歯遺残
歯肉口内炎
埋伏歯・含歯性嚢胞
口腔内腫瘍
歯科矯正
<診療体制について>
対象動物:犬・猫
第1水曜日
9:00~13:00、15:00~18:00
※完全予約制です。ご予約はお電話にて承っております。
<担当獣医師紹介>
歯科担当獣医師 山添 優哉
<略歴>
日本大学獣医学科 卒業
2017年〜2021年 ピジョン動物愛護病院 在籍
2021年~2022年 オーシャンズペットケアセンター 在籍
2022年~ 石田ようこ犬と猫の歯科クリニック 勤務
比較歯科学会 所属
日本小動物歯科研究会 所属
日本獣医麻酔外科学会 所属
日本小動物歯科研究会 全レベル講習実習終了
日本超音波スケーリング協会(歯科医師や歯科衛生士の学会)認定獣医師
ペット栄養管理士
<無麻酔スケーリングについて>
歯石除去をしようか検討する際に、インターネットで検索をすると「無麻酔歯石除去は危険」と「麻酔を使わない安心安全な無麻酔歯石除去」と、全く相反するフレーズが出てきます。
これはどっちが正しいのだろう?と疑問に思われる方も多いと思います。
それを理解するには歯石除去を何のために行うかを知らなくてはいけません。
歯石除去の目的は多くの場合、
1)歯周病治療
2)審美的歯石除去(見た目の改善)
の二つのうちのいずれかです。
歯周病治療の場合には、歯周病の状態やレベルを診断することが重要で、
歯科用のレントゲン(口にフィルムを入れる)やプロービング検査を行います。動物の場合、これらの検査は全身麻酔や鎮静下でないと実施ができません。
また、歯周病が進行していると歯周ポケットと呼ばれる部分の歯石を完全に除去しなくてはいけませんがこれはかなりの疼痛を伴います。人の歯医者さんでも局所麻酔を使用するほどです。動物では起きてる状態で局所麻酔だけ打つのは困難ですし、仮に打てたとしても動いてしまうため完全な歯石除去はできず歯周病の治療は行えません。
下の写真は5歳のミニチュアダックスさん(ちまきちゃん)で他院で無麻酔の歯石除去を続けた状態の写真です。
外観上はとても綺麗ですが、レントゲン写真で歯根周りの骨が溶けているのがわかります。
(レントゲン写真で歯の根っこ周りの黒い部分は骨が溶けてしまった部分です)
どれだけ見た目上綺麗でも、歯周病の治療はできていないことがわかります。
恐怖や興奮で暴れてしまう子を抑えて歯石除去をした際に、骨折や脱臼、てんかん発作、誤嚥を起こしてしまう可能性も高いです。
適切な歯石除去ができず、歯面を傷つけてしまう可能性もあります。
「歯周病の治療効果が乏しいにもかかわらず、動物が苦痛を受ける可能性がある。」
それが無麻酔歯石除去は危険と言われる理由です。
AAHA(米国動物病院協会)が2019年に発表したデンタルガイドラインの中にも無麻酔スケーリングについての記載があります。
全文英文ですが、無麻酔スケーリングの内容のみを抜粋し英訳しましたので、気になる方はこちらをご覧ください。
歯周病治療としての歯石除去は麻酔が必要だとお伝えしました。
では、麻酔がかけられない子の歯石はどうすれば良いのでしょうか。
残念ながら、現状では完全な治療をそういった子達に提供することはできません。
「完全な治療ではないけど、少しでも炎症や痛みを緩和させたい」
「麻酔はかけられないが口臭を少しでも軽減させたい。」
そういった状況でなら、無麻酔スケーリングが活躍できる思います。
ただし、無麻酔スケーリングを受ける際は、危険が伴うということ、診断が不十分であること、治療効果が乏しいということをよく知っておかなければいけません。
双方のメリットデメリットを理解し、選択することが大切です。
またその選択を決めるお手伝いをするのも当院や獣医師の役割だと思っておりますので、いつでもご相談ください。
<無麻酔歯科処理>
無麻酔歯科や非麻酔歯科処置(NAD:Nonanestheic dentistry)と呼ばれる処置は、全身麻酔の利点が得られない歯のスケーリング(歯石除去)と研磨を行う処置のことです。 NAD は、患者のストレス、怪我、誤嚥のリスクがあり、適切な診断が行えないため、適切ではないと考えられています。
この処置は、目に見える歯の表面のみをきれいにすることを目的としていますが、ペットの飼い主に、ペットの口腔内衛生に利益があるという誤った感覚を与えてしまいます。
獣医歯科では、口腔解剖学、生理学、病理学を熟知した獣医師による精密な検査を行い、正確な診断を行います。検査には歯科レントゲン写真が含まれており、動物が静止している必要があり、口腔内を精密機器で検査する必要があります。
歯周プロービング検査 (覚醒している動物にとって不快な刺激となる) も、適切な診断と治療を可能にするために必要です。
歯垢/プラークと歯石の除去は、歯周病の治療として、実施される最も一般的な治療です。歯肉縁下の表面をきれいにする必要があります。この処置は、患者にとって不快で、時には痛みを伴います。
歯肉縁上の歯石の除去だけでは、純粋に美容・審美目的であり、病気の治療には効果がありません。歯肉縁下の歯石除去は意識のある犬や猫では不可能です。
全身麻酔なしでは、正確な診断を行うことができず、患者の痛みに対処することができず、患者の気道を誤嚥から保護することができず、病気を適切に治療することができません。
無麻酔歯科処置が実施される際に飼い主は、「ペットが拘束されてストレスを受けるなんてことはないだろう」「痛みを感じることはないだろう」「歯科疾患が正確に診断され治療されているだろう」という誤った印象を受ける可能性があります。
無麻酔歯科処置を受ける患者は、的確な治療がなされないまま長期間放置される可能性があり、健康状態 の悪化や治療費の増加につながります。意見が分かれるこの処置ですが、安全性と有効性を保証している査読済みデータは非常に少ないです。
健康な動物やわずかなリスクしかない動物における麻酔のリスクは、適切な訓練を受けた人間が行う場合、非常に低いものです。
患者に麻酔をかけるリスクを懸念する獣医師は、American Veterinary Dental College のディプロマ、または American College of Veterinary Anesthesia and Analgesia のディプロマの支援を求めることができます。
NADの危険性に関するさらなるデータはこちらをご覧ください。